生きていくうえで、俺の人生の意味付けを一新する考え方を発明した。

それは、現実に劇的を期待しないという考え方だ。

 俺は今までずっと現実に劇的を期待してきたが、結局俺の目の前に美少女が現れることもなければ、俺に何らかの才能があるわけでもなかった。

現実は一人ぼっちでなんの魅力もない俺と、なんの魅力もない周りの人間が存在していて、日々はつまらない課題に追われるまま何の達成感もなく続いているだけだ。

 理想を抱けば抱くほど、現実との違いに気付かされて苦しんできた。この苦しみは、現実に劇的を求める限り続くものだと思う。

ならば、現実と物語との分別をつけてしまえば、そのような苦しみからも開放されるはずだ。

 人生は「物語を楽しむための外枠」にすぎないという考え方を持つことで、俺は初めて退屈な日々を許せるに違いない。